• 10月 18, 2023

高血圧について 4 塩分

高血圧についての食事療法は塩分のみではありませんが、塩分に触れないわけにはいきません。

塩分⇒体液量増加⇒高血圧
塩分摂取は体液増加につながり、血圧を上げる方向に働きます。塩分(ナトリウム)を多く摂取すると、血液の浸透圧を一定に保つために血液中の水分が増えるため、結果的に、体内を循環する血液量を増やします。そうすると血管の壁にかかる圧が高くなり、高血圧になると考えられています。血管の壁にかかる抵抗が高くなり、血圧を上げてしまうと考えられています。

塩分と時間が高血圧を育てる。
日本人の食塩摂取量の平均値は約10gです。WHO(世界保健機関)では、1日の食塩摂取量の目標値を5g未満に設定しています。日本人の食習慣には塩分が多いといえます。過剰な塩分は長い年月をかけて高血圧の発症につながります。多く塩分を取った日だけ血圧が上がるわけではありません。
アマゾン川の先住民ヤノマミ族は極端に塩分摂取量が少ないとされ、その民族には高血圧患者がいないといわれます。塩分摂取+体質など複数の要因が「時間」をかけて高血圧を発症させていくと考えられています。

高血圧になってから塩分制限だけでの降圧は困難
高血圧を発症した方が塩分を控えるとどうなるのでしょう。1日6g程度の減塩食にすることでー5mmHgくらいの血圧低下が期待されます。ただ減塩をしてもほとんど血圧が変わらない方がいます。塩分に反応し易い食塩感受性タイプか、逆に反応し難い食塩非感受性タイプかによって左右されるとされ、報告によっては8割くらいの方あまり変化しないとされます。なかなか減塩だけで血圧を目標値まで下げるのは難しいです。しかし減塩による血圧低下効果が無い食塩非感受性タイプであったとしても減塩をする必要はありますし、こういう方は減塩することで降圧薬がききやすくなります。とくにACE阻害薬やARB(アンジオテンシンII AT1受容体拮抗薬)を内服されている方は、減塩で薬の効果が高まります。

減塩の工夫
食事からの塩分を減らすために、加工食品や缶詰、ファーストフードなどの高塩分食品を避けましょう。だしを効かせスパイスで味付けをすることで塩分を避けることにつながります。案外醤油やソースなど後から食事にかける調味料や、ご飯に沿える漬物など、またおやつなど間食中の塩分が1日の総塩分摂取量を押し上げていることも多いです。
また塩分はうすめてもとった総量が問題なので、仮に味噌汁を薄めても量を多くとったら、摂取塩分量は多くなってしまいます。ラーメンのスープなど塩辛いものは残すようにしましょう。

今の塩分摂取量を知りたかったら
食べた食事中の塩分から推定することも大切ですが、手軽に尿検査で推定することもできます。お薬を飲んでいない場会、尿のナトリウム濃度、クレアチニン濃度から推定塩分摂取量が計算されます。当クリニックでも高血圧の方にはこの方法での塩分摂取量評価をすすめています。

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