• 9月 5, 2023

高血圧について2 白衣高血圧

白衣高血圧とは

医者の前で、もしくは病院で測ると血圧が高いけど、家では大丈夫という声はよくきかれます。

病院で測っても、しっかり休憩を取って測りなおすと下がっていることがあります。外来においてある腕を突っ込んで測定する自動血圧計は有用ですが、順番待ちで多く並んでいてせかされたり、歩いてきてすぐ測ったりと、しっかり安静が確保されていない状態では、「安静時」になっていないため高くなりがちです。運動中の血圧はどうしても高くなるのが普通なので、しっかり座位で休んでから測ることが重要です。

それでも、一般的に家庭で測るときより、病院で測ると高くなります。前回お話ししたように、家庭血圧では基準値をを135/85と-5と設定しており、おおむね5くらいは高めに出ます。AOBP:Automated Office Blood  Pressureといって診療所などで、診察室とは別の部屋で、安静時間をしっかりとり(5分以上)し、自動血圧計で3回(1分間隔で)測定した平均値の血圧は、従来の診察室の血圧より上(収縮期血圧)が10、下(拡張期血圧)が4低かったとされますので、診察室でさっと測る血圧は、主に安静不足や緊張が原因で高めになるようです。

さて、この家庭では大丈夫だけど、病院で測るときだけ高いというのは問題がないのでしょうか。つまり家庭で測る血圧が平均で135/85以下だが(平均ですよ。平均すると140/90だけど、135/85以下の時があるというのは立派な高血圧です)、病院では140/90以上の場合のことです。これを白衣高血圧といいます(降圧治療中の方は白衣効果、白衣現象といって、厳密には白衣高血圧の定義から外れます)。この白衣高血圧は大丈夫なのでしょうか?

白衣高血圧は危険なの?

じつはよくわかっていません。おそらく白衣高血圧の方のほうが、家でも病院でも基準値を超えない方よりも、心臓病や脳卒中を起こしやすいだろうといわれています。ただし、定義の混乱や測り方が統一されていないため、はっきり言えるほどの証拠がないといえます。薬物治療を行ってこのような方のリスクを下げることができるかについても証拠がありません。

一般に白衣高血圧の方には、それのみで薬を開始することはありません。ただし、塩分過多や野菜摂取不足、肥満など変えた方がいい習慣がある場合は、それを改めることをすすめていきます。

また白衣高血圧のかたが、普通の高血圧に移行する確率は高いといわれています。「自分は白衣高血圧だから」と決めつけず、血圧を測る習慣を持つのがよいでしょう。

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